第7章 人外王の花嫁
蜥蜴族から助けられた私は、アダマンド様のお城で療養している。
あの後、蜥蜴族はルナール様の監視下に置かれる事となった。私を拐った出来事はカサドラさんの独断で、キドラさんは知らない事となっていた。
そして、蜥蜴族は薬の技術を提供する事で身の安全と地位の回復を願い出た。
ラウルフ様とキリヤ様は、私の足がなくなった事も有って、皆殺しだと凄く怒っていたけれど、私も蜥蜴族を許してくれるように必死でお願いしたら、不満そうながらも考えてくれたみたい。
全てはカサドラさん一人のせい。彼が誰よりも蜥蜴族を思っていた事を私は知っている。あの人は一人、罪を背負って死んでしまった。
でも、カサドラさんが願ったから。蜥蜴族の幸せを願ったから私は何も言わなかった。
キドラさんは私の手にしたカサドラさんの角を見て、寂しそうに笑った。そして、私に飲ませる薬を作ってくれた。
飲みたくないと言ったのだけれど「カサドラの気持ちですから」と言って、飲むように言われた。
カサドラさんの角のお陰で、私は体のだるさも無くなって足も生えて来て今では完全復活だ。毎日の様に転移装置を使ってラウルフ様やキリヤ様、ルナール様がお見舞いに来てくれたのでとても楽しかった。
体調も良くなって、落ち着いて来た頃だった。私はお風呂から上がり、アダマンド様のお部屋へと来ていた。
「、体調はどうだ?」
「はい、もう大丈夫です」
「そうか」
アダマンド様が、私をそっと抱き締めた。少し冷たい体温にホッとして私は体を預ける。
「あの、本当に助けて頂いて有難うございました」
「気にせずとも良い。逆に、我等がそなたを護りきれなかったのだからな…すまなかった」
「アダマンド様…」
低く優しく響く声が心地いい。
「アダマンド様、その、蜥蜴族は大丈夫でしょうか?」
私の問いかけにアダマンド様が微笑んで優しく髪を撫でてくれた。
「そなたは本当に優しいな。あんな目にあったと言うのに蜥蜴共を心配するのか?」
私は何とも言えずに眉を下げた。するとアダマンド様が私を安心させるように髪へと口付ける。
「大丈夫だ。四国が同意してルナールが改革を進めている…時間はかかるだろうが、蜥蜴も混血も住みやすい世界になるだろう。それに薬も手に入り、出生率も上がる。皆、そなたのお陰だ」
アダマンド様がそっと私に口付けた。