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人外王の花嫁

第5章 魔物の王


コンコンとノックの音が聞こえて眠りから覚めた。何時の間にか寝ていたらしい私は、起き上がろうとして動けない事に気が付いた。
ルナール様が私をしっかりと抱き締めて眠っていたのだ。

「あの…失礼致します」

ルナール様の手が外れないと四苦八苦していた所で、何時までも返事が無いことに焦れたのか扉が開いた。あ、と思う間もなく裸の私と私を裸で抱き締めるルナール様の姿をメイドさんに見られてしまった。

「きゃあぁ!も、申し訳ございませんん!」

そう叫んでメイドさんは慌てて扉を出て行ってしまった。
バッタンと大きな音が響いて、流石にルナール様も目を覚ました。眠そうに眉を顰めながら目を擦っている。むっくりと起き上がると、周囲を見回して何かを探し始めた。

「…ふぅ」

隣に居る私を見付けると、安心した様に息をついた。そして、もそもそと動き私を抱き締めてまた寝直そうとしたのだ。時間を確認した私は、慌ててそんなルナール様の動きを止める。もう既に朝食には遅い時間になっていた。
もしかしたらメイドさんは、昨日の事件の事を気遣って起こしに来るのを遅くしてくれたのかもしれない。

「ルナール様、駄目ですよ!起きて下さい!もう朝ですよ」

ルナール様は不満そうに私の言葉に閉じかけた目を開けた。そして私の首元に甘える様に擦り寄った。

「と、もっと、このまま、で…」

いたい、と私を抱き締めながら口先を尖らせて見せるルナール様にキュンと胸が締め付けられた。ついこのまま甘やかしてあげたいと思ったけれど、せっかくのルナール様のお休みの日だもの。それに…今日がルナール様と過ごせる最後の日。
だから寝ているのが勿体なくて、ルナール様ともっと色々な事をしたかった。

「ね、ルナール様。起きましょう?私がお昼を作りますから、それを持ってまたお庭でご飯にしましょう…ね?」

私の言葉にルナール様がコックリと頷いた。その顔は何処か嬉しそうだった。

私はお風呂を頂いて体を清めると、着替えて調理場へと向かった。余り時間が無いので、サンドイッチを作る事にした。そして甘い物は必ず作りたいとカップケーキに取りかかる。

それ等をバスケットに詰めて、遅めの朝食兼早目の昼食をルナール様と取るために食堂を後にする。
ルナール様はナグル様のお見舞いに、お部屋へと行っているらしい。私もナグル様のお部屋へと向かった。
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