第2章 悪魔の王
「、こちらへ来い」
浴室へ入ると、中はとても広々としていた。豪華なお風呂と言えばライオンの口からお湯が出てくるイメージだけれど、アダマンド様のお風呂は山羊の口からお湯が出ていた。何だか悪魔っぽい。
私は言われるままにアダマンド様の側へと行くと、用意された椅子へと腰かけた。
「頭を下げろ、洗ってやる」
「そんな事、アダマンド様にさせられません」
「良い。私がやりたいのだ」
そう言われると断れない。私は大人しくアダマンド様の方を向いて頭を下げた。湯をかけるぞ、と声をかけられて目を閉じる。
アダマンド様はとても丁寧で、優しく髪を洗ってくれた。凄く気持ち良かった。だからつい…
「アダマンド様は美容師にも向いているかもしれませんね」
「王の私が美容師か?ふはは、それも良いな!」
アダマンド様を盛大に笑わせてしまった。今度は私がアダマンド様の髪を洗う番だ。緊張したけれど、出来るだけ丁寧に洗った。
「痒いところは無いですか?」
「うむ、大丈夫だ。心地よい」
満足そうな声に安心して、アダマンド様の艶々の髪が傷まないように念入りに仕上げておいた。
「さて、今度は体を洗うぞ」
アダマンド様が泡立てた布を私の体へと押し当てた。そして手早く泡を擦り付けていく。緊張していると、フワリと抱き上げられて泡まみれのままアダマンド様の膝の上へ跨がるようにして向かい合い座っていた。
「共に洗うと面倒がなくて良い」
何処か意地悪な色を含んだ声がして、私はアダマンド様の言う意図を察した。
「さぁ、。そなたの体で私も洗って貰おうか」
「は、い…アダマンド様…」
私は恥ずかしい気持ちをぐっと堪えると、そっと胸元に泡だらけの手を触れさせた。硬くて分厚い胸板。そして腹筋に触れてみると、擽ったかったのかそこが小さく震えた。
「、もっとしっかり洗わぬか」
「きゃあ!」
アダマンド様が足に角度をつけたので、私は滑ってアダマンド様に抱き付いてしまった。私のささやかな胸がアダマンド様の体で形を変える。それに、私の下部に彼のものが当たって…うう、やっぱり見間違いじゃなくて、凄く大きい。
「その調子だ」
満足そうに笑うアダマンド様にちょっとだけ抗議の視線を送ってから私はアダマンド様の体に手を回した。そして私の泡を移そうと動き始めた。