第2章 出会い
「止まれ。女。」
突然、闇から声が届く。あまりにも突然のことで、私松本燐那は足をとめた。キョロキョロとあたりを見渡すと、再びあの声が。
「こっちだ。」
今度は意識していたせいか、どこから声が聞こえたのかわかった。路地裏だ。目を凝らして見てみると、丸い・・・何か。白い、何かが浮かんでいる。
・・・ように見える。なにしろ、今は11月の夜10時なわけで、辺りはとても暗い。路地裏の方は闇に包まれている。
なにか面倒なことになりそうだったので、その場を立ち去る。すると、
「いい度胸してんな。バラすぞ。」
さっきまでとは違う、怒りのこもった声。
渋々、路地裏に行くことにした。
恐る恐る近付く。闇に目が慣れてきたころ、その人が見えた。白いモフモフした帽子。黒いロングコート。大きな刀。一般的にイケメンと言われるような顔立ち。・・・隈が酷いな。座っているからわからないが、身長も高そうだ。
『あのぅ・・・何か・・・?』
不審な男に声をかけてみる。
男は悪戯をしたくてたまらないといった風の笑顔を見せた。
いや、正確にはそう見えた。闇に目が慣れたからといって、完璧に見える訳ではない。
などと要らない事を考えていると、
「女、名前は」