第7章 裏切り
「おい。お前だな。能力者。」
海軍の制服を身に纏った女に問う。
海楼石の手錠を着けているが、用心に越したことはない。
「何かしら?死の外科医さん?」
女は気怠そうに首を持ち上げそう答えた。
「俺を同じ場所に連れていけ。無論お前も一緒にだ。」
女は目を丸くした。
「な・・・・・・んで・・・」
「連れてくる奴がいる。」
暫くして、女は笑みを浮かべた。
「それなら、私は行かないわ。」
「room」
「ちょ、ちょっと!!話を最後まで聞きなさいよ!」
俺は手を止めた。
「話せ。」
女は息を吐くとそっと口を開いた。
「私の能力は特殊なの。私が異世界に移した者には私の能力が与えられる。もちろん、ほんの少しだけど。」
女は一息ついて続けた。
「あなたは、誰か一人を異世界に移せる。・・・と言うことにしておくわ。」
「・・・。」
「わ、わかったわよ・・・。あなたが相手に見られる前に傷を与える事ができれば、私はその人を移せるの!」
女は、これで満足でしょ!!といった風にこちらを向いていた。
「俺をむこうに移せ。」
「・・・。」
辺りは静まり返った。
女の一声
「move」
俺の体は再び光に包まれた。