第4章 3月。
ん…………?
真っ暗で何も見えない。気怠い身体を起こしたら、ずり落ちた布団から肩が覗いて寒気を感じる。
「賢一さん……?」
呟いてみたけれど返事はない。
さっき彼の肩越しに目に入った部屋はオレンジ色だった。
情景と共に行為を思い出して頬が熱くなる。
私が欲しいって言ってくれたのに……。結局、私は賢一さんに何もしてあげれてない。
今すぐ彼の顔が見たいよ!
衝動に駆られて彼の仕事部屋に駆けこんだ。
「賢一さんっ」
振り返った彼は目を丸くしてる。「えっと、唯……。目のやり場に困るんだけど……」
その言葉で、自分が下着すら身に着けていないことを思い出した。
「あっ、起きたらいないから、会いたくて。邪魔してごめんなさいっ」
慌てて逃げようとした私の肩が暖かい腕に包まれる。
「今日は我慢しようと思ったのに。そんなに可愛いと、俺もう……本当に限界。優しくできないけど、ごめん、許して」