• テキストサイズ

激甘エッチなショートストーリー。

第4章 3月。


学校帰りの電車に乗ると必ずスマホを手にする。
「今から帰ります」
こう送っておけばもうあんな思いはしないで済む。

「ただいま帰りました」
「おかえり」
コーヒーを手にして穏やかな微笑みを向ける人は、この春高校2年生になる私の唯一の家族。
28歳の旦那様だ。

一年前に事故で両親を失った私は、親戚の間で迷惑な存在だった。引き取り手が見つからなくて不安で仕方がなかった時に、遠い親戚だった彼が会いに来て言った。
今と同じ笑顔で。
「僕と結婚しよう」

迷いなく頷いた私は、精神的に疲れていたのかもしれない。引き取られる、嫌々面倒を見てもらう、という現実から逃げたくて、愛があるふりをした。

彼がどうして突然プロポーズしたのかもわからないけれど、私は幸せだった。
あの日までは。
/ 197ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp