第2章 1月。
新一君が大学に合格しますように。手を合わせて心のなかで唱え、顔を上げたら、隣から温かい視線を感じた。
「ちゃんとお願いごとした?」
後ろの人に列を譲りながら新一君に尋ねる。
「したよ。唯とずーっと一緒にいれますようにって」
健康的な肌に力強い瞳。人混みでも頭一つ飛び出す新一くんは、大きな掌で私の頭を撫でる。
「そうじゃなくて、大学のこと」
「別に落ちてもいいよ。来年唯と一緒に入学したい」
私の頭じゃ新一君と同じ大学なんて到底無理なのに。いつもこういうことを言うんだから。
新一君が私を好きになる理由なんてどこにもないのに、告白されたあの日からずっと、彼は私に甘い。
「私のどこがいいの?」
尋ねるといつも、「全部」って言われる。
その言葉を信じられない私は疑い深いのかな。
だけどいつだって不安になる。
文武両道で有名な南高でも優秀な成績、そしてこの夏までサッカー部のキャプテンを勤めていた新一君。
外見は爽やかなイケメンでどうしたってモテるのに、どうして私のことが好きなの?
それがわかったら、もっと自分に自信が持てるのかな……。