第4章 束の間の休息
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翌日、男は刀剣男士全員の手入れを順に行っていた。
今回の戦闘で傷ついていないものはいなかった。男も含め、だ。
手伝い札を使ったため、昼ごろには全員の手入れを終えた。
「呪いはもう大丈夫だよ」
大広間でお茶を飲みながら石切丸が言う。
男はそれにほっとして、身体から力を抜いた。
「そうか、よかった…。目を覚まさないから心配だったんだ」
「ああ、それは呪いと戦っているからだね」
「呪いと?」
「今回私たちにかけられた呪いは、どちらかというと術師が使う術に近い。だから呪い返しの心配もないし、彼らに強い想いがあれば簡単に解けるものだ。ただし、眠っているときに限るけれど」
「だからかかってるものを気絶させてたのか」
「ご名答」
本丸内は、意外といつも通りだった。
悩んでいても解決しない問題であるし、何より男が普段通りに振舞おうとしていたので、刀剣男士たちもそれに合わせることにした。
それに、刀剣男士たちもとりあえずは本丸の修復や傷の治療が先だと朝から動き回っており、くよくよしている暇もなかったのだ。