第2章 審神者見習い
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朝、男はあまりの寝苦しさに目を覚ました。
ぼやける視界がクリアになり、同時に感じる頭痛にげんなりしつつ、起き上がろうとしたところで抱きしめられていることに気づく。
あれ?と思いつつも、何とか腕から抜け出すと、男を抱きしめていた張本人である鶴丸国永の肩が小さくふるえていた。
男は未だにぼーっとしている頭で、とりあえず鶴丸国永の頬を引っ張ってみる。
「いてっ」
鶴丸国永は笑ったせいか痛みのせいか分からない涙を溜めながら、男をもう一度布団へと引きずり込む。
どうやら夢でも何でもないらしいが、ならこの状況は一体何なんだ。おかしい、昨晩の記憶がないぞ。
え、いや、ていうか、昨日審神者見習い来てなかったか…?
ようやくはっきりしてきた頭を回転させながら、男はさーっと血の気が引くのを感じる。
そうだ、昨日は審神者見習いの柚子ちゃんがウチに来て、それから歓迎会だとか言って宴会を開いて。
まずい、宴会の途中から記憶がねぇ。