第12章 硝煙
翌日の早朝、白城の見送りはいいという言葉に、男と山姥切国広だけがゲートの前に立っていた。
白城と蜂須賀虎徹は、来た時と変わらず疲れを見せない姿でそこにいる。
「今回は本当、ありがとうございました」
「仕事だからなぁ、礼を言われることはなにも」
「蜂須賀も、ありがとう。うちにはいないから、なんか新鮮だった」
「君のところにも俺がくることを祈ってるよ」
「そうだな、気長に待ってるよ」
太陽はまだ姿を見せない。もうそろそろ冬がやってくる。
以前まで審神者の気分で変えていた季節は、今はオートになっている。
薄っすらと明るい朝焼けの中、白城と蜂須賀虎徹は挨拶を済ませゲートをくぐっていった。
「またな、しっかりやれよ」
白城の激励に、男は手を挙げ答えた。
朝焼けが滲む。辺りを染める。
ようやく、長い夜が明けようとしていた。