第11章 閑話休題:告白
本当は、ずっとずっと好きだった。
一目ぼれ、とは少し違う。
優しくされることに慣れていなかった私は、簡単に恋に落ちていった。
苦しいばかりだと思っていた。
辛いばかりだと思っていた。
実際そうだった。
けれど、最後のこの瞬間。
この目に映る世界が、あなたでよかったって、心底思う。
目は最後まで逸らさないで。私が殺されるのをちゃんと見届けてほしい。
忘れないでほしい。ずっと焼き付けていてほしい。
私がいたこと。私があなたをきらって憎んでいたこと。
すきだよ。すき。ほんとうは、だいすき。
目を閉じた。
眼裏にうつるものは、決して多くはないけれど、それでも私にはじゅうぶんだった。
ありがとう、と、小さく呟く。
私を殺してくれて、妹を殺すと約束してくれて。
そうして、痛みも感じないまま、途方のない安堵に包まれて、私の世界は幕を閉じた。