第11章 閑話休題:告白
やさしい、太陽の匂いがした。
神さまは、こんな匂いがするのか。
白くて美しくて、まるで陽だまりみたいだ。
鶴丸国永という刀から与えられた抱擁は、どこまでも暖かくて、安堵を覚える。
そういえば、人に抱きしめられたのなんて、いつぶりだろう。
思い出してみても、記憶にはなかった。
なかったけれど、母親から、あるいは父親から抱きしめられたら、きっとこんな感じなんだろうなぁとは何となくわかった。
彼の抱擁は、どこまでもやさしい。
大丈夫だよ、もういいんだよ、十分頑張ったって言葉にせずとも、伝わってくる。
すべての不安や苦痛を和らげて、こころをあったかいもので満たしてくれる。
だから私は、さっきまでの諦めとはまた違う心地を覚えた。
もう、いっか。
私、じゅうぶんがんばったよね。苦しんだよね、ずっと、苦しくて痛いの、我慢してたんだ。
ほう、とため息が漏れた。
今から与えられのは、とても幸福な死だ。
そんな予感がする。