第6章 閑話休題:大倶利伽羅
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主出立の日。
珍しく、大倶利伽羅は早くに目を覚ました。
朝の冷涼な空気が足元を冷やして、身震いを一つ。
静かに襖を開け、時空移転装置の見える縁側まで移動すれば、そこには主である男と三日月宗近がいた。
静かな朝だ。陽はまだ昇っておらず、辺りは薄暗い。
雲がないから、天気はきっと快晴だ。それは、男の心中が安定していることを示している。
強くなったな、と思う。
大倶利伽羅が来たばかりの頃は、あんなに頼りなくて、主なんて到底言えないよう男だったのに。
いつの間にか、彼はあんなにも強く、主というに相応しい人となった。