第7章 隠しきれない。
「すばるくーーん、元気ー?」
「おー?…見ての通りやー」
パン1で頭をガシガシと拭くすばるくん。
見て分かるとおり、シャワー上がり。
ライヴの後はアドレナリンが出ているのか、身体的疲労はなくはないが、精神的には上がっているため、いつもよりちょっと元気に見える。
と、いうか
浪花に会いに行く予定が控えてるせいか、
いつもより目に力が入っている。
「じゃあ元気って送っとこ」
「んぁ?送っとこて」
なんのこっちゃ、と動きを止めるすばるくん。
「浪花からすばるくんが元気か聞かれててん。」
「浪花ちゃん、おれには連絡してくれへんねやでぇー?どう思うー??」
とバナナ二本目の大倉が近づいてくる。
バナナ臭いわ
「はっ?!なんで??!」
わたわたとパン1のすばるくんものぞき込んでくる。
「浪花ちゃん、気ぃ遣いーやからしぶやんが無理してへんか心配なんとちゃうー?しぶやんも心配させへんように本心言わんて思われてんねやろぉ〜」
マルが指摘する。
「や、やってほんまに無理してへんねんもん」
薄らと顔を赤らめ、にへら、と笑う。
ほんまに、浪花と出逢ってから前より笑うようになったというか、少し笑い方が変わったように見える。
「すばる、呑みに行けるんか?」
村上くんが言う。
こっちもパン1、やなかったズボンは履いてた。
「おん。行くで。ツアー初日やし」
「えっ、ほんまに大丈夫なん、すばるくん」
浪花やないけどこれは心配になるな
「…明日きつかったら霄ちゃんに付き添ってもらお」
ニヤッと悪巧みするような顔をする。
「雫ちゃんから、妹をよろしくお願いしますってお伝えくださいってきてたでえ〜」
「誰や、それ?」
横山くんがメガネをかけながら言う。
「浪花ちゃんのお姉ちゃん。」
さも当然かのように章ちゃんが言う
でも横山くんたちは知らなかったらしく、
「いつの間に連絡取りあってんねん!」と驚いている。
「妹をよろしくって…
公認やん」
「…いや、すばるくん、浪花の両親にももう認められてるようなもんやろ…」