第8章 長谷部夢01
「ちょ、っと、長谷……!」
待って、どうしたのと言おうとした私の言葉は噛み付くような長谷部の口付けで遮られる。
口の中に血の味がする。
唇に歯がぶつかったのかもしれないなと、変に落ち着いた頭で思う。
長谷部は私が何かを考えているのに気付いたようで、唇を離した。
「…何を、考えているんです…?俺が目の前にいるのに、」
他の男のことですか?と嘲笑うような、でも泣きそうな顔で長谷部は言い、また口付けて来ようとしたところを………平手打ちをしてやった。
「っ!!」
長谷部は驚いて固まって、私は息を整える。
「…は、ちょっとは、私の話を聞こうとしなさいよ…!!」
「は、はい……。」
……うん、少し落ち着いたらしい。
これなら話が出来るだろうと質問することにした。
「…他の男のことを考えてたのかって何。」
「……それ、は…………」
話しにくいんだろう、長谷部は言い淀む。
「…長谷部。」
「っ、今朝、燭台切と厨で……接吻をして、いらっしゃいませんでしたか…?」
長谷部の言葉に驚いて一瞬固まった。
光忠?接吻?