第3章 ☆さようなら、傷ついたアイツ☆
アイツは少しやつれていた。
苦しそうな表情。
前足は折れていて、歩くのもできなさそうな状態。
「アイツ────」
侑吾の目から、ポロポロと涙が溢れ出した。
「こ、この子...。もらってもいいですか...。」
しかし、職員は困ったような顔をして言った。
「君、5丁目の松村くんだよね?君の家って動物OKだっけ?」
侑吾は絶望した表情だった。
「じゃ、じゃあせめて、僕とアイツがいつも会っていたあの公園に────」
「だめだめ。野良はほっといたらダメだよ。今回みたいに人と接触して怪我人でたらどうするの。誰が責任とるの?君がとってくれるの?」
「...そ、それはっ...!」
「とりあえず、この子はここで預かる。飼える人が見つかったらいいね。」
そういって職員は、扉を閉めた。