第1章 おめでとう
ー朱莉ー
勇気を出してかけただいちへの電話。
普段はこんな事しないんだけど、今日だけ特別。
ドキドキと鳴り響く鼓動を胸に押し付けた手のひらで感じながら電話帳の一番上のお気に入りに登録してある彼の名前をタップする。
深呼吸を一つして覚悟を決めたら通話ボタンにそっと触れた。
プルルルル、、、
無機質な呼出音を聞きながら彼の声を待つ。
いっかい、、、にかい、、、
3回鳴っても聞こえてこない彼の声に諦めを感じて終了ボタンに指を差しかけたとき
ピッ
呼出音が途切れ、通話時間の表示が進んでいる
「もしもし、だいち?」
問いかければ聞こえてくる優しく包み込むような低い声。
「ん、俺だけど、どうした?」
眠そうな声、もう寝るとこだったのかな?
「遅くにごめん。寝てた?」
「いや、起きてたよ。もう少しで寝るところだったけどな。」
だから眠そうな声だったのか、、、何か悪いことしちゃったけど、、、
「よかった、、、」
「ん、何がよかったんだ?」
「ん、ナイショ」
“その時”まで後2分、、、