第7章 僕達の譫妄
一君の腕の中でぐったりとしている彼女の頬をするりと撫でながら
「君もして欲しいよね?
この人に可愛がって貰いたいよね?」
そう問うと、僕を見つめる彼女の瞳が切な気に曇る。
その視線に僕の身体中がぞわぞわと粟立った。
今の僕を支配しているのは、ほんの少しの罪悪感と背徳感……
それから例えようも無い程の圧倒的な高揚感だ。
「大丈夫。見ててあげるよ。
君がこの人に抱かれる姿を全部……見ててあげる。」
にっこりと笑った僕を見て、どうやら彼女は覚悟を決めたみたいだ。
一君の首に両腕を絡ませるとゆっくりと顔を寄せ、唇を一君の唇に重ねた。
そうされても固まったまま動かない一君を誘うみたいに、下唇を柔々と食み舌を差し入れる。
彼女の身体を抱く一君の腕に力が籠った瞬間
「……………許せ。」
そう呟いた一君は勢い良く彼女を床に組伏せた。
もう只羽織っているだけの浴衣を更に拡げて露になった乳房を両手で寄せて顔を埋め、貪るように舐め回す一君の姿を見た僕は満足気に微笑んでしまう。
「良いよ……一君。
………もっとしてあげて。」
僕の言葉が合図だったように、一君の左手が彼女の脚の間に滑り込み大きく開脚させてから秘部を擽り始める。
僕に散々弄られてまだとろとろに蕩けているそこは、呆気無い程簡単に淫靡な水音を発てた。
一君に組敷かれて愛撫されているにも関わらず、彼女は絡み合う二人を愉しそうに見下ろす僕の目を見つめながら呼吸を荒げていく。
何だろう……この倒錯的な光景は。
僕は堪らず無意識に呟いた。
「…………最高だ。」