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燃える星に恋をした【ONE PIECE】

第1章 プロローグ


「イヤァァァ!!!」
「リオン!」


母の姿が遠ざかって行く。
海賊に引きずられて必死に応戦する母。
私は物影で震えていた。
ライラック色の瞳に涙を溜めるリオノーラ。


「ハァハァッ…お母さん……」


何故狙われるの?
そうか、この力が原因なんだ。
妖狐の一族。


「いらないいらないっ!!!」


この力のせいで一族は今、滅ぼされようとしている。
捕らえられて連れて行かれている。
売られて奴隷にされる。
殺せるものは殺し、
捕らえられるものは捕らえる。


「いらないよ!!こんな力ァ!!!」


母にジッとしていろと言われたが、リオノーラは九尾の狐に姿を変えて飛び出した。
九本の尻尾を激しく揺らす。


「いたぞ!!九尾だ!!金狐は捨て置け!!」


妖狐の中でも種類がある。
最も多いのが赤狐と白狐と黒狐。
次に多いのが金狐と銀狐、天狐と空狐。
そして最も少なく、一族にリオノーラしかいないのが九尾の狐だ。

辺りに散らばる妖狐や人間の遺体。
リオノーラは小柄な体で戦った。
だが敵うはずもない。


「リオン!!!」


ふと聞こえた母の声。
金狐になった母がいた。


「何故出てきてしまったの!?」
「私だけ逃げるなんて嫌だ!」
「あなたはまだ10歳の子供じゃない!!」
「でも一族の子だ!!」


すると母が一族特有のライラックの瞳で見つめてきた。
その瞳には悲しみが浮かんでいる。


「いたぞ!金狐といるぞ!!九尾の狐だけは殺すんじゃねェ!!」
「!!」
「リオン、私の子でいてくれてありがとう。」


母が金色の尻尾を光らせた。
その光はリオノーラの体へ入り込んだ。


「金狐は邪魔だ!殺せェ!!!」
「う゛あぁぁぁ…」
「お母さん!!!」
「逃げ…て……」


母が息絶え倒れた。
リオノーラへ向かって海賊の手が伸びる。
リオノーラは尻尾を揺らした。
美しいライラックの瞳を濁った血のような赤に染めて。


「ギャアァァァァァァァ!!!」


海賊たちの叫び声が聞こえた。
そのときだった。
白い毛皮の生えた胸が光りだした。
そして次の瞬間。




場面は変わり、緑の森に落ちた。
さっきまでいた炎の戦場とは全く違う場所へ。
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