第7章 戸惑う心
「IDつけて」
藤代のユニホームを見てIDをつけていないことに気がつく。
「わ、ホンマや」
慌ててIDをつける藤代。
「水原、神那さんに扱かれてるん?」
「まだ全然教わってないです」
教わるという考え方が甘い。
「ふーん、そうなんや。
あ、俺の席ってどこなん?」
「神崎の隣、フェローの前。
荷物が全く置いてないから分かるでしょ」
明らかに使用感のない机が1つだけある。
ステーションの机は3つずつ2列に並んでいる。
入口に近い方から近藤、神崎、藤代。
その向かいに恵、私、フェロー。
「んー、分かったわ」
その机にあらかじめ段ボールで送っていたものを並べる藤代。
「神那先生と藤代先生は知り合いなんですか?」
そういえば話していなかったな。
「まぁな。
神那さんは俺がまだフェローやった時の指導医なん。
俺の先生やで。
俺もフライトドクターの資格持ってるんや」
「へー、そうなんですか」