第19章 志高く
「水原…」
「はい?」
「これ…使わないからあげる」
「香水…ってこれ」
「回診行って来る」
「あっ、神那先生ー」
足早にステーションを去る神那。
「あ、これカモミールやん」
「カモミール?」
「そう。
確かキク科の花でリンゴに似た強い香りがあった気ぃがするで。
花言葉は…なんやったっけ?」
「逆境に耐える、逆境で生まれる力。
水原ちゃんにぴったりじゃないの」
「そうですか?」
「そうそう」
「確かにな、水原に合った言葉だ」
「ありがとうございます、神那先生。
大事にしますね」