第18章 居るべき場所
「俺は………」
口内の水分が急激に不足し、パサパサになる。
「俺は…」
上手く言葉が発せない。
自分の決断を口にすることが、こんなにも難しいことだったとは。
覚悟が要る。
「ふーっ……………俺は。
俺は救命に残ります」
ゆっくりと深い息を吐き出し、心を落ち着けてからしっかり神那先生の目を見て告げた。
「尊敬する神那先生にそう言って貰えるのは正直嬉しかったです。
でも、俺は救命が良いんです。
救命で神那先生から物事を学びたい、救命でより多くの技術と知識を身につけたい。
俺の目標は救命のフライトドクターになることです。
その為にはどんな困難でも乗り越えてみせます」
初めて聞く水原の強い口調。
「ふっ…」
神那の口からも自然と笑みが零れた。