第17章 起点
「お願いね。
まだ言いたいことあるけど、それはこれが終わってからにするよ」
「そうして」
踵を返す神崎を横目に、ストレッチャーと共に中へ走って行く。
「水原、そっちはどう?」
「あと縫合だけです」
「そう。
CT、点滴準備して」
「はいっ」
簡易に消毒、止血を済ませCT室へと向かう。
「CT撮ったら戻って来て。
水原、そのあとラインとって」
「は、はい」
ピピ…。
『患者情報を伝えます。
患者は60代男性、名前は不明や。
胸部に鉄片が刺さってる。
バイタル67、呼吸数30、SpO2は80』
「了解。
気をつけて搬送して」
「青島、水原のフォロー宜しく。
私はヘリの患者のオペに入る。
残りの患者は二人だと思う」
「あぁ、任せろ。
霜月も頑張れよ」
「当然」
再びヘリポートに走って向かい、ヘリの到着を待つ。
「オペになりますか?霜月先生」
「なる。
このままオペに入って」
「分かりました」