第11章 【寒くて幸せ日和】月島蛍
そんな一生懸命頑張ったって無駄なのに・・・
バレー部のやつらも、小宮山も、全く、良くやるよね・・・
「ねぇねぇ、ツッキー、私、寒くて幸せ♪」
は?寒いの嫌いなくせに幸せ?
何、それ?
矛盾してるんですけどー・・・?
チラッと向けた視線、相変わらず必死に足を動かして、息を切らして、それから、頬を染めて笑う小宮山・・・
・・・寒くて幸せ・・・ねぇ・・・
自然と、ほんの少しだけ彼女に合わせた足の歩幅・・・
途端、小宮山は目を見開いて、それから、ありがとう!、ツッキー!、そう今までで一番大きな笑顔を見せる。
ざわめく心臓・・・
それはまるで、試合で気持ちよくブロックを決めたときの感覚・・・
・・・やめてよね、暑苦しい・・・
「だから、その呼び方、やめてくれる?、同じこと何度も言わせないでよね。」
「何でよー?、山口くんだって呼んでるじゃない!」
「キミは山口じゃないでしょ?、全く、そんなことも分からないなんて、どんだけ馬鹿なの?」
そんな僕の言葉に、頬をふくらませる小宮山の体温は、何故かいつもより暖かくて感じて、そんなの外気温が低いからに決まってるでしょ、そう自分を納得させる。
だけど、なぜ、小宮山の歩幅に合わせようと思ったのか、その答えは見つからなくて・・・
「さむーい!、でもやっぱり寒くて幸せ!」
そう僕の腕にしがみつきながら嬉しそうに笑う小宮山に、まぁ、馬鹿も嫌いじゃないけどね、そう思いながらゆっくりと歩いた____
【寒くて幸せ】月島蛍