第5章 〜遊戯〜
流石に疲れたのだろう、磨耗している霊圧を感じ取って。
「…寝たのか」
瞬歩で現れた冬獅郎に、白哉は頷いた。
「兄も…何か聞いたか」
「邪魔するらしいぜ。此奴を作った世界そのものが、感情の特定を、な」
忌々しそうに呟く彼に、白哉はふと目を細めた。
「先は長いか」
「そう思うか?」
「…此奴を泣かせれば只では済まさぬぞ」
微かに殺気を放った白哉に、冬獅郎は鼻で笑った。
「泣かせるかよ」
「なら良い。私は帰る」
「連れて帰るのかよ」
「文句があるか」
白哉のそれで玲の寝る場所が完全に交互になっている事を思い出し。
「明日には返せよ」
一応釘を刺しておく。
「返事しかねる」
此方を見ようともしない恋敵は、しかし玲が起きればそうする事が分かっているのだろう。
去っていく背を見送って、玲の回帰で、副官の酒が抜けていると良いがと息を吐き。
仕事に戻るべくその場を立ち去った。
その日、締め切りの書類を提出出来たのは十番隊だけだったと言う。