第1章 貸し借り無し R18
男二人向かいあったままシャワー室の床に座り、脱力しながらも気力を振り絞り、とりあえず暗い中シャワーで色々流した。
黙って身体を拭いて、俺はしっかりと機械鎧の水気を拭き取り、自分の服を手早く身につける。
まだ電気の戻らないシャワー室を逃げるように飛び出す俺たち。
また、ビーネの部屋に飛び込んで、汗ばんで臭い借りた軍服やワイシャツを掴む。
そこでようやくビーネと目があった。
「ビーネ。誰にも言うんじゃねーぞ。」
「言うかよ。」
「だって、お前があんなイイ声で鳴くなんて知らなかったからよぉ。」
ちょっと噛みついて見せれば、焦ったようにまた頬を上気させるビーネ。
「良いからさっさと洗濯してこいっ!このバカエド!」
スコン!と俺の後ろの壁に、あいつが常用している短剣が刺さっていた。
「うっわ!」
「いいからでてけっ!」
怒鳴ったビーネ。くるりと後ろを向いて顔を隠してしまった。
しかし、ビーネは俺が右手で掴んでしまった左肩を撫でているのを、扉を閉める直前に見てしまった。
「んだよ。」
可愛いって。なんだよ。
自分の手の中のビーネの軍服。急に恥ずかしくなってきて、洗濯機に無造作に投げ込んでしまったのは、黙っておこう。
・・・