第3章 月夜に舞う花
椿『申し訳ありません…私が貴方に声をお掛けしたせいで貴方に怪我をさせてしまいました……』
そう言って彼女は本当に申し訳なさそうに頭を深く下げる。
それを見たカラ松はすぐさま立ち上がり両手を前に突き出して否定する。
カラ松「そ、そんな、やめてくれ!君は何も悪くなどない!!寧ろすまない…本来ならオレが君を護らなければいけないのに、逆に護ってもらって……己が情けない…」
本来なら立場は逆…カラ松はショックだったのかいつもの角度の鋭い眉は情けなく下がり俯く。
椿『いいえ、貴方は私を護ろうとして下さいました…。此方より数が多い相手に臆する事なく物言う貴方はとても勇敢だったと思います。貴方の様な男性が…もっといればいいのに……』
カラ松「え…?」
最後の椿の意味深な言葉にカラ松は首を傾げるが、椿はハッとして首を振る。
椿『い、いえ!なんでもありません!!それよりも、よろしければ貴方のお名前をお聞かせ戴けないでしょうか?』
カラ松「オレの名前?フッ…オレは孤高の一匹狼、lone wolf……松野家に生まれし次男、松野 カラ松だ」
無駄に格好つけて自己紹介をするカラ松に椿はとくに気にする様子もなくフワッと微笑んだ。
椿『松野様…』
カラ松「ああ、どうかカラ松と呼んでくれ。family name
で呼ばれるのは慣れていないんだ」
椿『カラ松様…とても素敵なお名前ですね。貴方にとてもお似合いです。私は立花 椿と申します。どうか私の事も、椿とお呼び下さい』
『椿』
凛とした佇まい…そして気高さ、上品さ、優雅さ
彼女にピッタリな名前だと思った…。
カラ松「椿…とても良い名だ。君の美しさをそのまま表したかの様な……」
??「お嬢様ぁーーー!!」