第20章 未来への扉
あれ以来、割と順調に
つきあいは続いてる。
もちろん、時々、小さなケンカをしては
しばらく会わないこともあるのは確かで、
最初の頃は、そんなことがあるたびに
『やっべー、どうやって仲直りすっか…』
と思っていたのだけど。
学生の頃とはその辺りが違ってきた。
お互いに仕事をしてるから、
一日中、相手のことばかり
考えてるわけにもいかず、
あれこれ慌ただしく暮らしてると
ケンカの原因ですら
なんだかあやふやになってきて
(そのくらいちっちぇーことで
ケンカしてるってことか 笑)
2週間もすればどちらからともなく
また連絡をとるようになって
なんとなく、仲直り…
これがお約束のパターンになってからは
安心して言いたいことを言えるようになってきた。
…夏希には言ってないけど、
俺がこっそり気を付けてることもある。
あの時、クロに言われた言葉。
"ケンカはしても、致命傷は与えるな"
すぐにカチンときてしまう俺だけど、
それだけはスッゲー納得いったから、
心がけるようにしてる。
こうやって
ぶつかったり、謝ったり、
反省したりしながら
少しづつ感じるようになってきたのは、
安定感。
安心感。
"夏希を好きだ"と思う気持ちを
もっと具体的に言葉にすると
そういうことなんだ、って思えるんだ。
俺と夏希が
お互いとつきあう理由は、これ。
他の人とでは感じることのできない
唯一の存在だ、って思える理由。
ケンカしながら、仲良く。
これが出来るのは、
俺と夏希の信頼関係、だ。