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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第20章 未来への扉



そして、あっさりと言う。

『俺、
男と二人で夜道を歩く趣味とかねーから
先、帰るわ。ほい、俺のビール代。』

クロが、千円札を出す。

『いいよ、俺、払う。迷惑かけ賃。』

『いいって。
俺が勝手に帰らせたし。
俺、結局2本、飲んだし。
そのかわり、俺が恋愛につまずいたら
こんどは夜っ久ん、助けてね♥』

…何が"助けてね♥"だ。
そんな日、永遠に来ねーだろ。
いや、
恋愛はたくさんするだろーけど
クロは、つまずかねーよ。
少なくとも俺が助けなくても
自分でなんとかするだろ(笑)

クロの懐の深さに、素直に感謝する。

『じゃ、もらっとく。』

『またな。』

立ち去るクロに、あわてて声をかけた。

『本当に、俺、夏希に連絡とらなくていい?』

『あ、先に言っとくけど、
俺から夏希に連絡するぞ。
でも、絶対、ヤキモチとか妬くなよ?
夏希は、お前の女。
夏希の男は、夜っ久ん。
ほかにいねーから。俺を巻き込むな。』

『ん。』

『ほんじゃ、また連絡すっから。
夜っ久んは、主将と彼女を信じて
お仕事、頑張って♥』

『(笑)キモい。』

『キモ男鉄朗、恋のレスキュー、頑張りますっ(笑)
…じゃーな。』

…クロは、ヒラリと振った手を
ポケットに突っ込んで、店を出ていった。

あっという間に見えなくなる
その姿を見送って、一息つき、

胸に突き刺さったクロの言葉を
ひとつひとつ、抜くような思いで
確かめ直す。


『恋愛がつまんなかったら結婚しない。』

『一緒にいることに捕らわれすぎ。』

『真っ直ぐな正しさは時々人を傷つける。』


1つ思い出すたび、
心の傷から血が噴き出すような痛み。

自分の何が悪かったのか、
正直言って、まだよくわからない。

でも、確かに、
今のことより、
先のことばかり考えてた、
というのは、思い当たる。

『ごめん』の想い出ばっかり増えたって
お互い、楽しくないよな…

大事、って。
大事にする、って。

俺が思う"大事にしたい"と
夏希が思う"大事にされたい"が
一緒でなければ、

単なる愛情の押し付け、かもな。

…炭酸が抜けてしまったペリエのように
ぬるくて中途半端な考えしか浮かばない。

ある意味、腹が座る。

クロに、
…信頼する“主将”に従うしかねーな。


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