第19章 Marry me !!
そして披露宴の結びは、
木葉様からの、新郎挨拶。
まずは出席者やご両親への
感謝を述べた後、
ポリポリと頭を掻きながら、
おもむろに言葉を繋げる木葉様。
『俺、
…こういうスポットライトとか
ホントに慣れなくて。
俺の中で、
スポットライトが似合う男といえば、
やっぱ、木兎なんです。』
"えーっ?俺?ここにいるぜーっ。"
お席で手を挙げて答える木兎様。
その木兎様に笑顔をむける木葉様。
『あの…少しだけ、言わせてください。』
木葉様は、前を向いて話し始めました。
『ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
木兎はVリーグの選手で、日本代表選手で、
俺らの高校時代のチームメイトです。
スポーツしてた人は大体そうだと思うけど、
俺も、小さい頃は
"プロになりたい"とか
"日本代表になりたい"とかに
一度は憧れて、
そして自分を知って諦めて。
今、あの頃の仲間は、俺も含めて
ほとんどバレーはしてません。
そんな中で、
Vリーグで活躍してて、
代表選手にも選ばれて、
もしかしたら
オリンピックにも出てくれそうな木兎は、
今でも俺達の
夢で、
希望で、
自慢で、
憧れです。
俺がエリと出会えたのも、
木兎のお陰だし。
俺…
スポットライト浴びるのは、
今日が最後でいい。
そんで、
俺が木兎に光を当ててやれるのは
これからの人生で、
もう今日しかないと思うから…
俺の分のスポットライトを、
感謝とエールを込めて
木兎にプレゼントさせて下さい。
おい、木兎、来いよ。
そんで、バレー部も、集合してくんね?』
なんだぁ?
なにすんだ?
…と言いながらも
ワクワクした顔で集まった、
チーム梟谷の皆さん。
その表情は、
まるで高校生のように
キラキラと楽しげで。
『そんじゃ、木兎を胴上げ!
俺達のキャプテンが、
俺達みんなの分まで
バレーで活躍してくれるように、
優勝とかメダルとかいっぱい掴めるように
高くあげるぞ、
せーの!』
わーっしょい、
わーっしょい、
わーっしょい…
高く舞う木兎様に
スポットライトがあたります。
最後は木葉様と木兎様が固く抱き合って…
横で見守る
赤葦様始め、
チームメイトや
出席者の皆様の
大きな拍手の中、
スポットライトは、
二人を
同じように
眩しく照らしていました。