第19章 Marry me !!
さあ、結婚式の始まりです。
お二人が選んだのは、
自由に演出できる、人前式。
…チャペルの扉が開いて
まず入ってきたのは木葉様。
『よっ、珍しく目立ってるぞ!』
『うるせー、木兎、黙ってろ!』
木兎様と木葉様とのやりとりで、
ゲストの皆様が一斉に笑います。
続いて、
お父様と腕を組んで
エリさんのご入場。
あぁ、エリさんの美貌は
お父様譲りなんですね。
背が高く、ロマンスグレーの
お父様と歩く姿は、
お客様も息を飲む美しさで…
その姿を見た木葉様の表情が
キュッと引き締まります。
…それは、感動ではなく、責任。
エリさんへの
男としての責任を実感した顔です。
ヴァージンロードは、
『花嫁の人生の道』。
生まれてきてから今日まで
歩んできた道のりを表します。
これまで
いつも隣で見守って下さった
お父様のもとから、
今、
これからの人生を
共に歩んでいく木葉様のもとへ。
お父様と握手を交わす木葉様。
ふたりを見つめるエリさん。
そして、
エリさんの背中を
木葉様の隣へそっと送り出すお父様。
それぞれの思いが
こちらにも伝わってきて…
客席の木兎さんの奥さまも、
小春さんも、
そして後ろで見守る私も、
おもわず涙。
木葉様と並んだエリさんは
本当に凛として華やかで、
それはそれは幸せそうなお二人です。
…そして、本日一番の緊張の瞬間。
『どーしても、俺にリベンジさせろ!』
と、言い張る木兎様のこだわりで…
『それでは、お二人の
これから始まる結婚生活にむけての
誓いの言葉です。
木兎光太郎様、前へお願いします。』
そう、
赤葦様の式の時のリベンジ(笑)
木兎様による、誓いの言葉の読み上げです。
『…一応、フリガナふっておいたけど…
大丈夫かな?』
私のとなりで会場を見守る夜久君に
思わず話しかけると
夜久君は笑いながら
『むしろ、
うまくいく方ががっかり、
…って思ってんのは俺だけ?』
…ま、それもそうだね。
だって、木兎さんだもんね(笑)
木兎様が大きく息を吸い込み、
私たちは、
少しの緊張と
少しの期待。
そんな中、
木兎様の口元から
言葉が飛び出し始めました。
…手もとの誓約書なんか
チラリとも見ないで。