第19章 Marry me !!
…もう1個のサプライズ?
今頃?
なんだ?
木兎が、アッキーの肩を抱く。
『来年の春、出産予定!』
…………
『マジ?!』
『おうっ。しかも、ツインズ!!』
『…双子ってこと?!アッキー、ホント?』
ニッコリ笑って頷くアッキーに、
エリが抱きつく。
『…賢兄…』
つぶやいた赤葦をチラッと見た木兎。
『…あかーしも、そう、思う?!』
賢兄、こと
賢太郎兄ちゃん。
早くに亡くなった、
木兎の双子の兄ちゃん。
木兎と赤葦が
これだけ親しいのは
兄ちゃんの看病にかかりきりだった
両親にかわって、
赤葦の親父さんたちが
木兎を可愛がってたから。
木兎がこんだけ
明るくてパワフルなのは、
兄ちゃんの分まで生きるって
決めてるから。
『俺、今は一人っ子だけどさ、
一人ぼっちじゃねーんだよな。
お前らもいるし、
賢太郎もまたこうやって、
俺んとこに来ようとしてくれてっし。
マッジで毎日毎日、
楽しくてたまんねーんだわ!』
…気づけばみんな、泣いていた。
嬉しくて。
悩んだ分だけ
強くなるし、
泣いたあとには
ちゃんと幸せが来る。
それを繰り返す姿を、
ずっとそれぞれ
見守ってきた。
だから、
俺達は、
大丈夫。
みんな
幸せに
なれる。
仲間の幸せも
自分の喜びも
どんどん増えていくことが…
それを分かち合えることが…
嬉しくて、嬉しくて。
ふと、エリが口を開いた。
『ね、予定日、いつ?』
『4月末。』
『じゃ、もしかしたら
子供たち同士が同級生もアリ、
…ってこと?』
『そうだよ!』
『…赤葦んとこは?
やっぱ、1年後輩を目指す?』
『いや、出来れば世話係は
俺で終わりにしてやりたいんで、
同級生を目指します(笑)』
『よーし、そうと決まれば、
早速今夜から、励めよ~。
一家庭、最低二人!
チビ達でバレーチーム、作るぞ!』
…本当に。
幸せにしたい相手が増えていくことが
こんなに心を満たしてくれるって
俺は、コイツらに教えてもらった。
仲間だけど、家族みたいなもんだ。
誰にありがとうって言えばいいか、
わかんねーくらい、
俺、幸せだ。
うん、この際、
誰でもいい。
俺をコイツらと
出会わせてくれて
本当に、
ありがとう。