第19章 Marry me !!
小春ちゃんに
"待たないでほしい。"と言った赤葦。
"カッコつけんな!"と怒った木兎。
その時、赤葦は、俺に聞いた。
『木葉さん、
大事な人に、3年間、ひとりぼっちで
待ってろなんて、言えます?』
思わず、エリの顔を見る。
滅多に見せない、切ない顔。
もしエリが小春ちゃんの立場だったら
泣いてるに違いない。
…いや、今でさえ、泣きそうな顔だ。
明るくて、でも泣き虫で、
人懐こくて、その分、寂しがりで、
元気で派手で、なのに、一途で。
そんなエリに何もしてやれないまま
一人ぼっちで俺を待ってろ、って
俺は、言えるか?
『…言えねぇな。
大事な人にほど、言えねぇな。』
赤葦も木兎も、ただの友達じゃない。
親友。兄弟みたいなもんだ。
だから、
赤葦の気持ち、よくわかる。
怒った木兎の気持ちも、わかる。
そして、唇を噛み締めているエリ。
エリのことは、俺が一番わかる。
エリはきっと今、
小春ちゃんの気持ちを想像して
泣きそうな気持ちを
ギリギリで我慢してる。
…でも、自分が口を挟めないことも、
わかってくれてる。
こういうところも、俺、大好きだ。
そしてこの後、
エリは赤葦に
『ごめん、って言いたくなったら
"愛してる"か"ありがとう"って
言うといいよ。』
と、エリらしい言葉を贈った。
みんな、HAPPYでいてほしい。
明るくて潤いあるところには
きっと大きくてキレイな花が咲く。
だから、
心を、唇を、枯れさせないように。
そんなエリの心が伝わる言葉。
いつも俺に、
オーバーなほど愛情表現してくる、
エリの気持ちを表す言葉。
…この言葉は、
赤葦と小春ちゃんにも響いたようだった。
大事な人と一緒にいる。
当たり前のことだと思っていたけど
そうではない、ということを
思い知った夜。
…この時、俺もひとつ、
大きな決断をしたんだ。
エリならきっと、わかってくれる。
今日は、
みんながいるから…
明日、
エリと二人きりになったら
相談しよう。