第18章 誓いの言葉
3人でご飯を食べて送ってもらう途中、
木葉さんが少しだけ、
京治さんの仕事について教えてくれた。
一番上のお兄さんは
経営や経済を勉強してて
数字に強いこと。
二番目のお兄さんは女癖は悪いけど
社交的で営業力があること。
そして京治さん自身は、
建築や土木を学んでて
現場の仕事が好きなこと。
『…なんつーの?三びきのコブタみたいに、
兄弟それぞれタイプが違う、っつーか。』
『秋紀、三びきのコブタの場合は
3分の2は出来が悪かったから…
ちょっと例えが悪いかな?』
エリさんが苦笑しながら訂正するけど
木葉さんは気にせず話をすすめる。
…こんなところがすごく面白いくて、
私、この二人、大好きだって改めて思う。
『んでさ、あかーしは大学時代、
ゼミのボランティアをきっかけに、
ずっと、途上国のインフラ…
橋とか道路とか港、とかね。
その整備に関わりたいって思ってたわけ。』
…自分で将来を考えたわけでなく、
選ぶ余地なく『赤葦建設に入るため』の
進路を選んだ、という京治さんにとって、
自分の仕事がこういう所で
人の役にたつなら、と思えたことが
親の会社に入ることへの後ろめたさを
軽くしてくれた、らしく。
『でも、俺も同じ業界だからわかるんだけどさ、
そういうの、規模がデカくて大変な割に
利益になりにくいから
民間はなかなか手を出さないんだ。
で、ODAみたいな国の支援とかと
繋がることが必要なんだけど、』
『…秋紀、そんな難しい話、すんの?
さっきの三びきのコブタの時とは
別人みたいにカッコいい~🎵』
『エリ、惚れとけよ(笑)
…んで、あかーしはずっと、
その繋がりをつくることに力を入れてた。』
『でもさ、赤葦君はなんでその話を
小春ちゃんにしないの?』
…エリさん、私もそれを知りたいです…
『んー、なんでだろな?
もしかしたら、なんか、
プロジェクトの曲がり角なのかも。』
話が大きすぎて
わかったような、わからないような…
でも、京治さんには、
大きな目標がある、ってことはわかった。
京治さんだけのことではなく、
会社に大きく関わるプロジェクトであることも。
今、
社内で揉め事を起こしてる場合じゃないことも。
…私に心配をかけたくないから
話してくれなかったんだろう、ということも。