第5章 ヴァージンロード~月の道~
栄養士の資格を取ろうと思って
東京の大学に進学。
在学中にスポーツ栄養学に出会い、
大学院まで残って勉強を始めた年の4月、
大学の入学式の手伝いをしていたら、
蛍がいた。
私が声をかけた時のビックリした顔は
ちょっとだけ、
小さかった頃のかわいい蛍を
思い出させてくれたけど、
あとは、話しかけてもぶっきらぼう。
その夜、別れて以来、数年ぶりに
(番号を消してなかった私もスゴい)
明光先輩に電話してみた。
電話がつながって、
先輩もびっくりしてたっけ。
とにかく、
蛍が後輩になったことを伝えたら、
明光先輩は、
私たちが別れた後の蛍について
いろいろ教えてくれて、
そして最後に言った。
『あいつ、
誤解されやすいし意地っ張りだし、
これまでずっと一緒だった忠とも離れて、
東京でやっていけるのか、
ちょっと心配してたんだ。
アキも忙しいだろうけど、
たまには気にかけてやってくれないかな?』
…そんな風に、
先輩後輩として、というか
姉と弟のような感じで始まった
新学期だった。