第5章 ヴァージンロード~月の道~
スマホがなって目が覚めた。
今、何時?…朝5時か…
外は、まだ暗い。
いつもだったら出ないけど、
今日はなんとなく
連絡があるような気がしてたから
すぐに、出る。
出来るだけ、明るい声で。
『もしもし、蛍?おはよ。』
~電話の向こうからはテンションの低い声。
『…おはよ、じゃないし。』
『そっちは今から夜だろうけど
こっちは朝5時だもん、
おはよ、で、いいでしょ?』
『何?早く起こしたからって、イヤミ?』
…こんな時"朝からごめん"なんて
絶対言わないのが、彼だ。
でも本当は、
あと一時間遅くかけようかどうか、
すごく考えてかけてきてるはず。
『どう?イタリアは。』
『仕事は予定通りだけど、飯がダメ。
ピザもパスタも3日でうんざり。
ケーキも、味が雑。』
『そっかー。帰ってきたら、
蛍の好きなもの、作ってあげるからね。
あ、そういえば、東峰さんの結婚祝い、
送っておいたよ。』
『どうも。
…まだ当分帰れないけど、大丈夫?』
『え?大丈夫だよ。なんで?』
『寂しくて、
一人でエロいこととかしてないよね?』
『バカね~。何の心配してんのよ。』
『こっちのカップル、
みんなイチャイチャしてて、
見てて暑苦しいし、ムカつく。
日本帰ったら、
イヤっていうほど可愛がってあげるから、
それまで一人で解消したりしないでよね。
ヨソの男とか、あり得ないから。』
『なるほど。私は大丈夫だけど、
蛍の方が、大丈夫じゃないのね。』
『うるさい。』
…私の彼は、4つ年下。
頭がよくてスマートで、
ちょっと毒舌でひねくれてて、
そして、かなりエッチで、
実は甘えたがりの、
手がかかる、
でも、本当は、すごく優しい人です。