第17章 ジューンブライド ~クリスタルウェディング~
『いってつさん、お願い。キス、して…』
ニッコリと笑った優しい表情が近づき、
『…ンンッ…ァッ…』
その表情からは想像できないほど、
激しく貪るようなキスから始まる。
ほろ苦く感じるのは、ビールのせい。
レモンやチョコレートみたいなキスは、
いらない。
そう。
待ってたのは、大人のキス。
息が苦しくなるほど交わした後、
武田さんの唇が、動く。
『…ずっと、我慢してましたから。
食べてしまいたい、って、ずっと。』
『…私も、です。』
そしてもう一度。
噛みつくような激しさで、
溶け合うような濃厚さで、
探り合うような丁寧さで、
絡み合うような執拗さで、
お互いを抱き締めあいながら
唇で愛を交わしあう。
…ヤバイ。
もう、これだけでイキそうだ。
そう思った瞬間に
ツイッ、と、顔が離れる。
『顔が、赤いですよ?』
『だって…』
『まさか、キスだけでイキそう、なんて
初々しいこと、言わないですよね?
僕の大事な、』
武田さんの口が、耳元に近づく。
『アキ…』
魂、一度目の、昇天。
まだ、服も着てるのに。
どこも触られてないのに。
名前呼ばれただけで、
イキました…