第17章 ジューンブライド ~クリスタルウェディング~
六月の空は、安心する。
眩しくないから。
くすんだ私も、居心地がいい。
梅雨は嫌いだという人が多いけど、
私は、そうでもない。
むしろ、光の季節の方が嫌い。
コインランドリーに来るのも、好き。
洗濯が終わるまで待つ時間が、好きだから。
みんな、洗濯物をセットしたら、
すぐいなくなるから、案外、静か。
中で待つ人はほとんどいない。
みんな、忙しいのね…
乾燥してる洗濯物が回るのを
ボケーっと見てると、笑える。
私の人生みたいだ。
あがったと思ったら、落ちる。
どこかに行こうと思うのに、
同じところをくるくるまわる。
そして…カラカラに乾いて…渇いてる。
いつも、本を一冊、持っていく。
家で読むのと何も変わらないのに、
どうして落ち着くんだろ。
『コインランドリーの留守番』という
アルバイトがあったらいいのにな…
…いつも、そう思う。
今日も、そう思ってる。
ここが出会いの場になるなんて、
チラリとも思わなかった。
コインランドリーで、
人生、かわるのよ。
世の中、わかんない。
そして、やっぱり、
梅雨が好きで、よかった。