第16章 指輪
その夜、アキ姉を抱きながら、
西谷の言葉を思い出していた。
『これで仲直り出来たら、
結婚しても大丈夫っすよ。』
…俺の腕の中で裸で喘ぐこの体。
俺の手綱をしっかりと握って
甘さも厳しさもコントロールしてくれる
この優しさ。
俺以上に、俺の家族と仲良くしてくれる
この気安さ。
これ以上の女は、俺には、いないだろうな。
もしアキ姉が
他の男とつきあうって言い出したら、
俺、絶対、後悔する。
死ぬまで、一緒にいたい。
…これを『結婚したい』という気持ちだと
思っていいんだろうか?
そのためには、俺、
"頼れる"男に
"守れる"男に、変わりたい。
初めて、ちゃんと、そう思った。