第16章 指輪
優しく抱きたい、なんていう気持ち、
いつぶりだろう。
キス…
さっきは、激しかったけど、
今度は、大事に大事に。
指で唇をなぞる。
…さっき、オレを舐めてた、この口。
ホントはその前に、甘い言葉や色っぽい声を
出すための場所なのにな。
清めるような思いで
そっと唇を重ねた。
何度かついばむと、アキ姉の両手が
俺の頭を抱え込む。
もっと、もっと、って。
舌を入れる。
すぐに応えてくれる。
絡み合う舌と唾液の音がする。
なまめかしい音に興奮がたぎる。
唇を離すと、ツゥ…と糸がひいた。
『…ハァッ…ね、繋心、キスって、
…こんなに…気持ちよかったっけ?』
『俺も今、同じこと思ってた。』
『…ね、もっと、して。』
今度のキスは…
今度は、耳。
熱い息とピチャリという音をかけると
ピクンと肩が動く。
『アキ姉、耳、弱い?』
『…そうみたい。
あんまりされたことないから
ゾクゾクしてビックリ…』
耳元で、低い声で、呼んでみた。
『アキ。』
『繋心…もう一回、呼んで…』
『アキ。』
『繋心…好きになりそう…』
裸の間だけ、なのかもしんねぇけど。
アキ姉のその言葉に、胸が震えた。
アキ姉の心ん中に、
俺の入るスキマ、あんのか?
まだ、
ちゃんと気持ちも確認してないのに
抱いてしまったことを一瞬、後悔する。
それでも、
もう、始まってしまった体の関係。
今夜は、とにかく、
快感だけを与えたい。
俺の手で、俺の腕の中で、
女になってくれ…