第13章 嫁ぎの紅(べに)
とるものもとりあえず、
病院へと駆けつけた。
私も何度も来たことがある母の勤務先。
…慣れたところでよかった。
玄関を入ってすぐのところで
絵美さんが待っていた。
『アキちゃん、ごめんね!
私が慌てて勝手に電話しちゃって…
大したことないみたいだから。』
『絵美さん、いつも迷惑かけてごめんね!
で、おかーさん、どこ?』
連れていかれた所は、リハビリ室だった。
足をギプスでがっちり固めたおかーさんが
松葉杖の練習をしている。
『おかーさんっ!』
『ごめんごめん、
つい調子にのって翔ちゃんみたいな
スーパースパイク決めようとしたら
着地に失敗した~。
大したことないけど、
さすがのおかーさんも、
この足で東京は無理だから、
残念だけど、今回はアキ1人で行っておいで。』
『何いってんの?
おかーさん1人残して行けないよ。
誰がお世話すんのよ?!』
『だーいじょうぶだって。
おかーさんを日頃からやかましく思ってる
ドクターが、ここぞとばかりにこんなに
大げさにやったんだって。
あの、ヤブ医者め!』
『おかーさん、言葉遣いっ(怒)
それにしたって、こんな状態じゃ…』