第12章 1年後のガーデンパーティー
『スガさん、お願いがあるんです。』
『なんだよ、急に。ま、あがって。』
仕事帰り、
一人で立ち寄ったスガさんの家。
なんだか、懐かしい。
1年前の今頃、
スガさんの結婚式の準備で
しょっちゅう、ここに来てた。
…まさか1年後、
こんな頼みをしに来るなんて
あの頃は想像もできなかったや。
『…で?頼みってなんだ?』
『スガさんとアキさんに、
結婚式の立会人をお願いしたいんです。』
『え?誰が結婚すんの?
へ?お前?マジで?わー、おめでとう!
何だよ~、相手、誰?俺も知ってる人?』
『雪乃さんです。』
ガランゴロンガランゴロン。
キッチンから派手な音がする。
『アキ、大丈夫?!』
『ごめん、びっくりしすぎて手が滑った…
縁下君、今、なんて言った?』
『雪乃さんと、結婚します。
スガさんとアキさんが僕らの縁結びなんで、
お二人に立会人をお願いしたいんです。』
『アキ、二人がつきあってるって知ってた?』
『知らないよ~!
だからこんなにびっくりしてるんだって。』
『なんだなんだ、お前ら、
そんなことになってたのか~!
でもなんか、すっげー嬉しいなぁ。
うん、すっげー嬉しいわ!』
『ねぇコーシ、あの時やっぱり
縁下君に立会人頼んで正解だったね。
雪乃の心を動かせたって、すごいよ。
もう、私まで嬉しくてたまんないもん。
ね、縁下君、時間あるんでしょ?
いやーん、ちょっと~!
じっくり話、聞かせてもらわなくちゃ!
飲みながら、話そっ!
コーシ、ほら、あのワインあけちゃおうよ…』
…その夜は、スガさんとアキさんに
質問攻めにされながら、
俺は雪乃とのことを報告した。
『俺とアキが出会った時もだったけどさ、
ホントに、人生って何が起こるかわかんないな。』
スガさんが、あの爽やかな笑顔で言った。
俺も、つくづく、そう思う。