第12章 1年後のガーデンパーティー
『…ちから君、』
『ん?』
『泣いていいかな?』
『あれ、俺、今、泣かせないって
約束したばっかりなんだけど。』
『私、ちから君の前だと安心して泣けるの。』
『じゃ、いいよ。後で笑顔にしてあげるからさ。』
…う…ふぅっ…ふぇ~ん…
子供のように泣きじゃくる雪乃。
あ、雪乃が泣くのを見るのは、久しぶりだ。
最初にスガさんの家で会った時は
目もあわせてくれなかった。
今はこうして、
俺の前だけで涙をみせてくれる。
涙を流すたび、
雪乃は俺の前で素直になってくれた。
涙の雫が、
雪乃の心を凍らせていた氷を
少しづつ溶かしてきたんだと思う。
…きっと今日、泣き止む頃には、
溶けきった氷の中から、
雪乃の、
女子高生のままで止まっていた
"愛情"という
あたたかく柔らかい心が
もう1度、
鼓動を響かせ始めるに違いない。