第12章 1年後のガーデンパーティー
『ね、雪乃、
結婚しようって言ったらびっくりする?』
初めてのセックスの後で言う言葉じゃ
ないかもしれないけど…
俺は今、これほど幸せな気持ちだからこそ
伝えたいと思ったんだ。
『私、ちから君のこと、すごく好き。
だけど…よくわからなくて…』
『なにが?』
『私、前に一回、失敗してるでしょ』
『…うん。』
『あの時は、
“妊娠した”っていう理由だけで結婚したから、
気持ちが全然ついてこなかった。
…嫌いじゃなかったんだよ。
でも、つきあうとかそういうことも
よくわからないままだったから。
だから、うまくいかなくても
当然だったのかもしれないんだけど』
『…うん。』
『ね、ちから君。
どのくらい好きだったら、
愛してるって言えるのかな?
どのくらい相手を思えれば、
結婚してもうまくいくのかな?』
…今日の雪乃は、よく喋る。
いや、これが
本当の雪乃なのかもしれない。
今までずっと、自分の中で
そんな疑問と向き合ってきたんだな。
こんなに素直で感受性豊かな人が
それを自分の中にとどめておくのは
どんなに苦しかっただろう、と思う。