第12章 1年後のガーデンパーティー
それがハッキリしたのは、
2月14日、
いわゆるバレンタインデーのことだった。
スガさんと昼を食べに出て帰社する途中、
スガさんのスマホが鳴った。
仕事の話で長引く様子らしい。
『わるいな。』という顔で俺に手を振り、
先に行くように合図されたので
俺は一人で会社に向かった。
会社の玄関前の
昼休憩から戻る人波の向こう、
柱に隠れるように見え隠れする
小さな人影。
雪乃さんだ。
いつもと違い、ひらりとしたスカートをはいて
いつもはひとつ結びにしている髪もおろし、
少し化粧もしている。
手には、ピンク色の紙袋。
そして…
俺を見て、
ギクッとした顔。
…なんだか、
すごく、悪い予感がする。
後ろを振り返る。
まだスガさんは来ていない。
雪乃さんに駆け寄った。
『雪乃さんっ?』
『え、縁下さん、あの…』