第12章 １年後のガーデンパーティー

スガさんが、結婚する。
スガさんは俺の高校時代のバレー部の先輩で、
今は同じ新聞社で働く先輩でもある。

もっとも、
スガさんは記者で
俺は広告宣伝部だから
仕事は全然違うのだけど…
高校時代からずっと尊敬してる先輩だ。

そんなスガさんの結婚式は、人前式。

新郎側・新婦側それぞれに立会人が必要らしく、
それを俺に頼みたい、ということだった。

『俺でいいんですか？
俺より、大地さんとか旭さんとかの方が…』

『いや、縁下にぜひ、頼みたいんだ。』

『もちろん、
俺でよければ、喜んで引き受けますよ。』

『ありがたい！
じゃあさ、アキの立会人も呼んで
うちで飯食いながら話そうぜ。』

…そう言われて、
スガさんとアキさんの家にお邪魔した。

『俺の後輩の、縁下。』
『私の幼馴染みの、雪乃。』

『初めまして。縁下力です。』
『…遠藤…雪乃です…』

目を合わせることもなく、
小さな声で名乗った彼女。

スガさんにすすめられて連絡先は交換したけど、

その日、四人で話をしていても、
彼女が俺の方を見ることは、一度もなかった。