第11章 ガーデンパーティー
『コーシは、すごいっ!』
もうすぐ、夏。
開け放した窓から
夜の涼しい風が入ってくる。
俺たちは、
ベッドで一戦交えた後、
裸のままビールを飲んでいた。
『コーシは、すごいよっ!』
…アキがこのセリフを言うのは
もう5回目。
酔っぱらってきたらしい。
『もう、私なんかよりよっぽど
先を考えて動くもん。
さすが、元セッター。頭脳派!
ナイスアシスト!』
『…嬉しいけど、誉めすぎ(笑)
でも俺も、
自分がこんなに家事を楽しめる日が来るなんて
なんか意外だったな。』
『すっごい成長っぷりだよ~。
もう、見直したっていうより惚れ直した!』
『あの時、アキに
"結婚したいならつきあえない"って
言われて、すっげー衝撃的だったから。
そんなのアリかよ?って。』
『コーシのこと大好きだから、
使えない女だって嫌われる前に
自分から別れなくちゃ、
また傷つくって思ったんだよね…』
『アキっ!
俺の前で絶対、そんなこと言うな。
自分のこと、使えない女だなんて。
俺に言わせれば、
アキの才能を埋もれさせておく男のほうが、
よっぽど使えない男だよ。』
『コーシ…』
…アキは今まで、
どれだけのものを諦めながら
仕事を続けてきたんだろう、と思う。
仕事と結婚。
どちらかひとつ、なんて
男だったら、まず考えることないのにな…