第11章 ガーデンパーティー
『え?』
わけがわからない、という顔をするアキ。
『コーシ、だから、それは…』
彼女の言葉を遮る。
『俺、アキのことも
アキが作る料理も、大好きだ。
覚悟をもって仕事をしてるアキのこと
尊敬してる。
俺はまだ
自分の仕事に自信が持てないけど、
アキを支えることで
誰かの役にたてるなら、
俺はそこから始めたい。』
『コーシ、だからって一緒に暮らすのは…』
『ま、自分から言っといて何だけど、
多分、最初はうまくいかないと思うよ。
…だけど、俺に、1年、チャンスをくれ。
1年の間に、家のこと全部、補欠じゃなくて
レギュラーでやれるようになってみせる。
もちろん、自分の仕事も。
アキに負けないくらい
誇りをもって働ける目的をちゃんと探す。
"仕事と家庭、どっちかなんて選べない"
っていうのが、
俺たちの始まりだったもんな。』
…バレー部の頃のことを思い出していた。
ただ勝利が欲しくて、
そのためなら何でも出来た。
損とか得とかじゃなくて、
あの仲間と、勝ちたかった。
あの仲間と、1日でも長く一緒にいたかった。
みんな、自分に出来ることを
ただひたすらに。
出来ない、なんて考えたことなかった。
大丈夫。
俺には、あの3年間がある。
今、欲しいのは、
勝利じゃなくてアキとの未来。
そのために、
俺に出来ることをやる。
ただそれだけ。