第11章 ガーデンパーティー
『あれ?烏野のさわやかセッター君じゃない?』
『え?及川…さん?』
『なんだよー、でっかいカメラ持って。
俺のスキャンダルでも探しに来たの?
残念ながら今日の主役は岩ちゃんだよ。』
…相変わらず、賑やかな人だな(苦笑)
とりあえず、
今日の取材対象の岩泉君に
名刺を渡して挨拶をしていると
(この人は相変わらず仏頂面だ…)
及川が名刺を覗きこんできた。
『へー、さわやか君、新聞記者なんだ。
なんか、ぴったりの仕事だね。』
『そうですか?』
『でも結婚式の取材ってことは、
スポーツ班とかじゃないってことか。』
…さすが及川。痛いところをついてくる…
『いや、この間まで政治部だったんですけど、
つい最近、異動で文化部に…』
言い訳がましいとわかっているのに、
日本のトッププレイヤーとして
活躍している及川の前で、
少しでも自分をよく見せたいと思ってしまう
つまらないプライド…
きっと、一笑されるか、スルーだろ。
…と思っていたのに。
『そっかー。確かに
政治部よりそっちの方が、向いてるじゃん。』
…え?
『…そう、ですかね?』